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梅田 浩司; 二ノ宮 淳
no journal, ,
伏在活断層や低活動性で変動地形の明瞭でない活断層,未成熟な活断層等、いわゆる未知の活断層と呼ばれる断層を概要調査等によって確認することは、地層処分の安全性を確保する点から重要な課題である。これらの調査技術は、近年の変動地形学や地球物理学の進歩によって高い確度で識別されることが予想されるが、さらなる信頼性の向上を図るため、これまで研究事例が少なかった地球化学的アプローチによる活断層の検出手法について検討を行った。
山田 国見; 花室 孝広; 田上 高広*; 島田 耕史; 高木 秀雄*; 岩野 英樹*; 檀原 徹*; 梅田 浩司
no journal, ,
地層処分の安全性検討における地層の長期安定性の評価の際、特に伏在断層については、地層の食い違いが観察できるとは限らないことから断層岩の分析が重要である。代表的な断層岩であるシュードタキライト(PST)について、三重県多気町の試料の(U-Th)/He年代測定を行ったのでその結果を報告する。このPSTはマイロナイト化した畑井トーナル岩の脆性変形の際に融解・急冷によって形成され、その後さらに破砕の影響を受けているとされる。PSTから分離したジルコンについて603Ma(1SE), PST近傍のマイロナイトから分離したジルコンについて564Ma(1SE)の(U-Th)/He年代を得た。これはPSTから分離したジルコンの60.03.5Ma(1SE)のFT年代(Takagi et al., in submission)と誤差の範囲で一致する。また、この年代はトーナル岩より有意に若い(Takagi et al., in submission)。これらが示唆する180-330CというPST生成環境温度は、これを200-300Cと推定したShimada et al. (2001)とも整合的である。この場合、(U-Th)/He年代は試料の長期的な冷却過程、すなわち削剥速度と断層を起源とする長期的な熱影響の情報を通じて天然バリアだけでなく人工バリアの長期安定性評価に貢献しうる。
岩月 輝希; 石井 英一
no journal, ,
本研究では、北海道幌延地域を事例として、過去から現在までの地質現象とそれらの地球化学環境との関連性を整理したうえで、研究所設置地区の深部地下水の化学条件の長期的変遷について考察した。その結果、地下水のpH,酸化還元状態が長期に渡って中性付近,強還元状態に維持されてきたことがわかった。また、今後考慮すべき重要な現象として、将来の隆起に伴う水理・地球化学環境の領域の変化やそれにかかわる主要プロセス(水-鉱物-微生物-ガス相互作用)が挙げられる。
森川 佳太*; 岩月 輝希; 細谷 真一*
no journal, ,
本研究では、深度約500mの地下水を対象として、形状の異なる複数の電極を用いて酸化還元電位を測定し、調査における電極選択の考え方を整理した。さらに、地下水中の溶存成分や地上における脱ガス量を計測することで、脱ガスに伴う酸化還元電位の変化とその補正方法について検討した。その結果、電極表面積が小さい点状電極の測定値は、他の電極の測定値よりも高い値となり、表面積の大きな円筒状電極がその他の電極よりも短時間で安定値を取得できることを確認した。したがって、深部地下水の酸化還元電位を測定する際には、使用している電極の特性とその不確実性を理解したうえで、調査に適した電極を選択する必要がある。また、pHと酸化還元電位にかかわる主要なプロセスを解析する際は、脱ガス量とその成分を把握しpHを補正することにより、誤解釈を防ぐことが重要である。
新里 忠史; 五十嵐 八枝子*; 安江 健一
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発では、地層処分システムの長期的な安全性に影響をもたらすことが想定される天然現象の発生様式や傾向及び天然現象による地質環境の変化について、数万年以上の期間で評価・予測することが重要である。本研究では、過去から現在までの地質学的変遷(地史)とそれに伴う地質環境条件の変化量を推定し、その場の将来における地質環境の長期的な変化を予測するというアプローチのもと、北海道北部の幌延地域を事例として、地形・地質調査及び花粉分析等の結果に基づいて過去の地表環境の変化を考察した。その結果、過去21万年間の海岸線位置の変遷,氷期における古気候を推定するとともに、幌延地域の最終氷期後半の植生と永久凍土層の層厚や分布を明らかにした。
水野 崇; 鈴木 庸平*; 福田 朱里*; 萩原 大樹; 伊藤 一誠*
no journal, ,
有機物や微生物,コロイドは微量,微小な物質であるため、ボーリング孔掘削時や試料採取時の汚染の影響を受けやすく、原位置における特性評価手法の有効性は確立されていない。そこで、日本原子力研究開発機構と産業技術総合研究所は、深部地下環境に存在する有機物,微生物及びコロイドを対象とした調査研究を行い、その過程で適用もしくは開発された調査・解析・評価手法の有効性を確認することを目的として、瑞浪超深地層研究所において共同研究を実施している。本研究では、研究所用地内から採取した地下水を嫌気条件を維持しつつろ過可能な手法を構築し、コロイドに関する研究を行った。その結果、地下水中の一部の金属元素が溶存イオン以外の状態で存在していることが示唆された。また、微量金属元素の分析結果では、使用した機材からの金属元素の溶出や、試料の採取及び保存過程における変質等が認められなかったことから、本研究で用いた手法が適切であったと考えられる。一般的に、コロイドに付着した金属元素は遅延効果が少ないことが想定されているため、今後はより詳細に検討を行う必要がある。
花室 孝広; 梅田 浩司; 前田 勝彦*
no journal, ,
閉鎖温度が低い鉱物を用いた熱年代学的アプローチは、地層処分において考慮すべき地殻変動や地熱活動等の過去から現在までの履歴を明らかにするための有効な手法と考えられる。本研究ではフィッション・トラック年代を用いて、紀伊半島の新第三紀以降の隆起速度の推定と熱水活動のメカニズムの検討を行った。推定される過去数百年間の平均的な隆起速度は、侵食小起伏面等の地形学的手法によって推定された値と整合的である。このように、地形学的手法に加えて岩石・鉱物学的手法を組合せることにより、見積もられた隆起速度の確度が向上すると同時に、将来予測に伴う不確実性を低減することも可能となるものと考えられる。熱水活動については、紀伊半島南部地域に認められる高温泉に伴う非火山性の熱水活動が6Ma頃まで遡ることが明らかになった。この年代は フィリピン海プレートが沈み込みを開始した時期と調和的であり、これらの熱水活動が最近になって新たに発生したものではなく、ネオテクトニクスの枠組みで生じている長期的な現象であることを示唆する。このように、熱水活動の履歴をもとにそのメカニズムを推定することにより、非火山地域における熱水活動の将来予測モデルの構築が可能となるものと考えられる。
二ノ宮 淳; 梅田 浩司
no journal, ,
活断層・活褶曲・活傾動等の隆起・沈降・水平変動を含む第四紀の地殻変動(活構造)に関する研究は、従来、地形学,地質学及び地球物理学の領域で進められてきた。本研究では、活構造とヘリウム同位体比の関連性を明らかにするため、地殻下部へ深部流体が付加することにより地殻歪みが集中していると考えられている地域(新潟-神戸歪み集中帯)、及びその周辺において、既存のヘリウム同位体データ(He/He比)のコンパイルを行うとともに、その空間的分布の特徴を明らかにした。その結果、南部,中部,北部で、それぞれスラブ,マグマ,マントル由来と考えられる深部流体の起源と調和的なHe/He比分布となっていることがわかった。このことから地中ガスのヘリウム同位体比は、地殻変動の活動性を評価するための有効な指標であると示唆される。また、この指標を用いることにより、従来行われてきた地形・地質学的アプローチに基づく地殻変動の活動性の評価に伴う不確実性の低減を図れる可能性がある。
萩原 大樹; 水野 崇
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の処分技術に関する調査研究において、処分施設建設時の水理学的,地球化学的擾乱は、予測と実測の比較を行うことにより水理モデル及び地下水化学モデルの信頼性の向上に用いるとともに、再冠水後における初期状態への復帰の評価を行ううえで重要な課題である。しかし、これらの事例に関する研究例は少ない。このため、研究坑道内に設置された200m予備ステージよりボーリング孔を掘削し、定期的に地下水水質を観測することにより、研究坑道掘削による地下水水質への影響の時間的,空間的な把握を行っている。定期的な地下水水質の観測として、水質の連続的モニタリングと定期的な主要化学成分分析及び同位体分析を実施した。分析結果は、地下水の起源が雨水であることを示唆し、地下水の水質組成は、各区間においてNa-Cl型を示した。また、空間的に塩化物イオン濃度は、立坑からの距離の増加に応じて減少する傾向を示すとともに、時間的に、各区間における濃度の変化は増減の時期や傾向が一致した。各区間での塩化物イオン濃度は、増減の時期や傾向が一致すること、及び間隙水圧との間に相関性が認められることから、研究坑道の掘削に伴う擾乱によるものであると考えられる。以上を総合的に解釈すると、立坑周辺で深部地下水のupconing現象が起きているものと推定された。これらのことから、今回の調査方法が、研究坑道の掘削に伴う地下水水質分布の変化を把握するうえで適切であったと考えられる。
丹羽 雄一*; 須貝 俊彦; 大上 隆史*; 田力 正好; 安江 健一; 藤原 治*
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断層活動・海水準変動に伴う地形変化やそれによる地下水流動の変化は、地質環境の長期安定性に影響を与えると考えられるため、断層活動・海水準変動の調査・評価手法の高度化は、地層処分システムの長期安定性を評価する技術を整備するうえで重要な課題と考えられる。本研究では、堆積物の分析に基づく断層活動・海水準変動の復元手法の整備を目的として、濃尾平野で掘削された計8本のボーリングコアの岩相記載・粒度分析・電気伝導度測定・C年代測定を行った。調査の結果、各コアにおいて地震性沈降を示唆する層準が複数認められた。濃尾平野西縁の養老断層系南部を構成する桑名断層では、Naruhashi et al. (2008)によって、複数回の地震性沈降イベントが報告されているが、本研究で得られた各イベントの年代は、それらの年代とおおむね一致している。本研究で用いたコアは、養老断層系北部の養老断層下盤側に位置しており、本研究で得られた結果は、養老断層と桑名断層が同一の活動セグメントをなす可能性を示す。以上の結果から、平野の堆積物の分析は、断層活動・海水準変動を評価するうえで有効な調査手法として利用できる見通しが示された。
福田 朱里*; 萩原 大樹; 石村 豊穂*; 幸塚 麻理子*; 伊藤 一誠*; 角皆 潤*; 鈴木 庸平*; 水野 崇
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地下水の酸化還元電位(Eh)を測定については、安定した測定値を得るまでに長期間要することや、地下水採取時の脱ガス等の化学的な変化によるEhの変化が指摘されている。他方、地下水中の微生物は、地下水中に供給される還元剤・酸化剤を用いた酸化還元反応を利用して生息しているため、代謝活性様式から酸化還元環境を推定できる可能性がある。そのため、Ehの測定に関する不確実性を低減することを目的として、生物化学的な観点から酸化還元環境を測定する研究を日本原子力研究開発機構と産業技術総合研究所が共同で行った。本研究では、採取した地下水試料のEhを従来の電極法で測定するとともに、微生物の代謝活性様式から酸化還元環境を推定した。その結果、電極法による測定結果と微生物の代謝活性様式から推定される酸化還元環境は整合的な結果を示しており、本研究で用いた生物化学的手法により、Ehの測定結果に対する不確実性を低減させることが可能であると考えられる。今後は、生物化学的な擾乱を避けるための試料採取方法等を含めて、本手法の体系化を進める予定である。
田力 正好; 安江 健一; 杉山 真二*; 高田 圭太*; 加藤 孝幸*; 須貝 俊彦; 守田 益宗*; 古澤 明*
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地殻変動に伴う地形変化やそれによる地下水流動の変化は、地質環境の長期安定性に影響を与えると考えられるため、地殻変動の調査・評価手法の高度化は、地層処分システムの長期安定性を評価する技術を整備するうえで重要な課題と考えられる。内陸部の地殻変動は、おもに河成段丘を用いて推定されるが、この手法は河成段丘が気候変動に連動して形成されるというモデルに基づいているため、この手法を実際に適用するためには、対象地域の河成段丘が気候変動に連動して形成されたことを確認する必要がある。本研究では、それを確認する一方法として、植物珪酸体分析に基づく古気候(段丘の形成環境)の復元を試みた。鏑川流域の、低位・中位段丘堆積物から採取された植物珪酸体試料からは、寒冷な気候が復元された。このことは、これらの段丘堆積物は寒冷期に堆積したことを示し、鏑川流域において段丘が気候変動に連動して形成された可能性を示唆する。以上の結果から、植物珪酸体分析は古気候の復元、及び段丘の形成環境を推定するうえで有効な調査手法として利用できる見通しが得られた。
野原 壯; 田力 正好; 安江 健一; 草野 友宏
no journal, ,
地形変化に伴う地下水流動の変化は、地質環境の長期安定性に影響を与えると考えられ、地形調査の結果に基づく地下水流動の変化の調査・評価手法の有効性を確認することが課題である。本研究では、土岐川(庄内川)流域の河成段丘の分布に基づいて、地下水流動場の長期的変化の傾向を推定した。また、推定結果の検証の試みとして、既存の放射非平衡調査結果との比較を行った。その結果、最近数十万年間の河川侵食による起伏の増加に伴い、ローカルな地下水流動の主な湧出域が移動した範囲が示された。また、推定された主な湧出域の放射非平衡の特徴から、過去約数千年間の地下水上昇が示唆された。本研究により、河成段丘の情報に基づく地下水流動場の長期的変化の傾向を推定する手法の有効性と、放射非平衡を用いた検証方法の可能性が示された。
三枝 博光; 大澤 英昭; 大山 卓也; 尾上 博則*
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地上からの地質環境特性評価技術を知識化するため、水理地質構造モデル構築及び地下水流動解析にかかわる意思決定プロセスを整理することを目的として、超深地層研究所計画における経験に基づき、作業項目分類及び手順の整理を行うとともに項目ごとに詳細な作業内容を分析・整理した。構築した意思決定プロセスは、一連の地質環境調査の進展によって変化する情報の質や量,社会状況などに応じて、調査計画の立案や実施,変更を支援する次世代型サイト特性調査情報統合システムにおけるルールベースや事例ベース作成に使用するものである。
石丸 恒存; 黒澤 英樹; 小坂 英輝*; 丹羽 正和; 島田 耕史
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断層活動は、周辺岩盤に対して破断・変形といった力学的な影響を及ぼすとともに、新たな水みちの形成など水理学的にも影響を及ぼすと考えられる。放射性廃棄物の地層処分などの大深度地下構造物を建設する場合には、地域周辺に分布する断層の活動性や断層活動に伴う影響範囲をさまざまな調査手法の組合せによって適切に把握し、その安全性を評価することが有効と考えられる。このような断層活動の影響にかかわる調査手法の一つとして、断層破砕帯などから放出されるガスのうち、おもに水素ガスを利用した調査手法の適用性の検討を進めている。これまでに実施した跡津川断層,阿寺断層,野島断層,仮屋断層,山形断層,仏像構造線及び跡倉ナップ基底断層周辺の水素ガス濃度測定の結果からは、活断層では地質断層と比べて水素ガス放出量が多い傾向が認められた。このように、本手法の適用により対象とする地域での断層調査にかかわる不確実性低減に寄与できる見通しを得た。
黒澤 英樹; 石丸 恒存; 楮原 京子; 小坂 英輝*; 島田 耕史
no journal, ,
断層活動による周辺岩盤への影響を検討するうえでは、断層や節理群を含めた割れ目の特徴とその形成について理解することが重要である。すなわち、新たな割れ目の形成や割れ目の伸長,流体の移行経路の変化などを把握するため、活断層や地質断層近傍で、どのような割れ目が形成されているか、その特徴は何かなど、基礎的な情報・事例を蓄積する必要がある。筆者らは、このような断層活動の影響にかかわる調査手法の一つとして、断層破砕帯などから放出される水素ガスを利用した調査手法の適用性の検討を進めている。本調査では、跡津川断層から南へ約8km離れた飛騨市古川町杉崎における太江断層の断層露頭において、断層破砕帯や節理から放出されるガス(H, CH, CO)の濃度測定を行った。その結果、高濃度放出の地点は、主断層沿いと主断層から南側(下盤側)に離れたX面に対応される断層破砕帯に認められた。一方、低濃度放出または非放出の地点は、主断層沿いのR1面,P面に対応される断層破砕帯及び主断層から北側(上盤側)に離れたX面とP面に対応される節理に認められた。以上から、本手法の適用により断層周辺岩盤において、流体の移行経路となる割れ目を把握できる可能性が示された。
梅田 浩司
no journal, ,
地層処分の安全性を確保するためには、概要調査等によって活断層の存在を確認することが重要となるが、近年の変動地形学や地球物理学の進歩によって、これらは高い確度で識別されると考えられる。しかしながら、ボーリングや坑道調査等で遭遇した断層は、上載地層法を用いることが困難となるため、断層の活動性の検討においては、さまざまな鉱物の放射年代を組合せた熱年代学的なアプローチが唯一の手法となる。地震断層の年代学の今後の展開に向けては、地表地震断層のみならず、地下で遭遇した断層の年代も視野に入れつつ、年代測定法の実用化・標準化や測定精度の向上を図るとともに、タイプの異なる断層についての研究事例の蓄積が望まれる。また、これにより地層処分における断層の活動性の評価の不確実性の低減が見込まれる。なお、本発表は、日本地球惑星科学連合2009年大会のうち、スペシャルセッション「地震断層の年代学:最近の新展開と今後の展望」の招待講演である。
戸谷 成寿; 竹内 竜史
no journal, ,
瑞浪超深地層研究所計画において、20062007年に実施した研究坑道内(深度200m付近)のボーリング掘削時においては、通常とは逆の水圧変化を示す"Deformation induced effect"と考えられる水圧応答が観測されている。本現象は、水理地質構造の不均質性に起因する可能性があり、筆者らは水理地質構造の推定結果の確認に利用できる可能性を指摘した。しかしながら、その検証に必要な観測事例が十分でない。本研究では"Deformation induced effect"を、水理地質構造の推定結果の確認に利用することを目標とし、2008年に新たに実施されたボーリング掘削(08MI13号孔)に対する水圧応答観測結果について報告する。
竹内 真司; 中野 勝志*; 大澤 英昭
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原子力機構では地質環境調査の計画立案や変更,実施を支援するための「次世代型サイト特性調査情報統合システム」を開発している。このシステム開発には地質環境調査に関してこれまでに蓄積された経験やノウハウ並びに判断根拠などの意思決定プロセスに関するルールベースや事例ベースを作成することが必要となる。この一環として、原子力機構が開発したボーリング孔を利用して実施する「シーケンシャル水理試験手法」に関する意思決定プロセスについてIF-THEN形式のルールとして整理した。具体的には、水理的なインパクトが相対的に小さい試験から開始し、透水性を評価しながら、順次、インパクトの大きい試験手法に変更していく、「シーケンシャル水理試験手法」の流れと個々の試験手法の変更にかかわる判断基準をIF-THEN形式で明確化した。また、この意思決定プロセスに従うことで、現場において再現性の良いデータが取得できることを確認した。これらは地下深部の水理試験データを効率的かつ品質確保に考慮して取得するうえでの技術指針として活用することが可能と考えられる。
竹内 竜史; 三枝 博光; 大山 卓也; 松岡 稔幸; 竹内 真司
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独立行政法人日本原子力研究開発機構では、深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備と、深地層における工学技術の基盤の整備を全体目標として、岐阜県瑞浪市において、おもに結晶質岩を対象とした超深地層研究所計画(MIU計画)を実施している。2007年度に地表からの調査予測研究段階(第1段階)における研究成果を取りまとめ、現在、研究坑道の掘削に伴う研究段階(第2段階)における調査研究を進めている。第2段階における岩盤水理に関する調査研究は、「研究坑道掘削に伴う地下水流動場の変化の把握」,「第1段階で構築した水理地質構造モデルの妥当性の確認、及び更新」を目的とし、その一環として、地下水の水圧などについて、地表付近での観測及び、地表から掘削した深層ボーリング孔を用いて、複数の観測を行っている。その結果、研究坑道掘削における各観測結果から、第1段階で予測された低透水性断層の存在と矛盾しない結果が得られた。本稿では、空間的に限定された情報(ボーリング孔での水圧観測結果など)と広い領域を定性的に把握できる情報(地表傾斜や流体流動電位の変化など)を組合せて解釈することで、水理地質構造モデルの不確実性を低減できることを示す。